緊縛 SMにおける美学「緊縛」についてお話します
英訳は「string bondage」。


一般人にSMのイメージを問えば概ね緊縛、蝋燭、鞭という答えが返ってくるが、

その中でも緊縛SMの代名詞的存在である。

緊縛は責めの中でも「緊縛」自体一つの分野として完全に確立しており、

この分野(緊縛)を中心的に行う人々のことを特に緊縛師と呼ぶ。

日本でこれほどまでに緊縛美が熟成されたのは、その歴史的背景と大いに関係がある。

罪人や捕虜、奴隷を拘束する際、欧州諸国ではそれ専用の拘束具を用い緊縛し、

時に拷問具や処刑具に発展していったという経緯があるそうだが、

遠く離れた島国である日本はなかなかそれら緊縛の文化が輸入されず、

また、長期間に及ぶ鎖国の影響もあり、

緊縛は縄、拷問は竹刀、処刑は刀という、

欧州諸国と比べれば極めて原始的な手法が近代まで行われていた。

しかし、そのことが結果として独自の緊縛美などを派生させる原因ともなった。

緊縛術が広く確立されたのは江戸時代で、 

今でも緊縛の専門書で当時の緊縛指南書の中身を知ることが出来る。

番所の役人による罪人の緊縛拘束が専らの目的であり、

当初は胴に数回巻くといった極めてシンプルな緊縛方法であったが、

忍者などによる縄抜けの術に対抗するため次第に複雑な緊縛法が考案されることとなり、

それがそのまま今日の緊縛のルーツにもなっている。

特殊部隊のルーツとして忍者は内外問わず専門家からマニアまで幅広い関心を集めているが、

今日の和製SM、つまり緊縛に大きく寄与したという点は意外であり興味深い。

それら緊縛法は当時の手法そのままに伝承されているものもあれば、

時にその緊縛絵に芸術性が加味されて現在に至っているものも少なくなく、

中でも亀甲縛りなどはその典例と言える。

緊縛といえば麻縄を使うのが通常だが、

専門家によると7mm7mという寸法のものが最も一般的な緊縛縄のサイズとされている。

一昔前まではどこの雑貨屋の軒先でも緊縛に向いたこのタイプの麻縄が束ねて吊られている光景を目にすることができたそうだ。

当時の人々が手っ取り早く折檻にこの麻縄を使ったという慣行を正統派の緊縛師が今も尊重しているということなのだろうが、

実際に女体を緊縛してみると7mという長さは実に絶妙ではある。

今日でも麻縄は切り売りで販売されているが、こだわりたい人は(もちろん緊縛用に)7mに切ってもらうといい。

正統派からすれば邪道になるが、その他手首緊縛、足首緊縛用に短いものを数本揃えておくと便利に思われる。

ただし、市販されている麻縄は緊縛するには概ね固く、また、毛羽も多いため、

かなりの期間を使い込まないと肌にしっくり馴染まない。

よって、初めから緊縛用の麻縄を買うのもいいだろう。

ただし、女性の中には、緊縛されるならゴツゴツした麻縄や荒縄を好む場合もあるので、

こればかりは好みの緊縛の問題でもある。


具体的な緊縛法はその手の本に譲るとして、名称のみを一応列挙しておく。

手首縛り(緊縛)
両手首縛り(緊縛)
後頭両手縛り(緊縛)
後高手小手縛り(緊縛)
亀甲縛り(緊縛)
桃縛り(緊縛)
直立不動一本縛り(緊縛)
椅子上M字開脚縛り(緊縛)
後高手小手首輪一本縛り(緊縛)
椅子上後背縛り(緊縛)
肛門晒し縛り(緊縛)
開脚長棒固定縛り(緊縛)
吊り縄縛り(緊縛)
後高手小手縛り吊り(緊縛)
片足吊り(緊縛)
髪縛り(緊縛)
後合掌縛り(緊縛)
狸縛り(緊縛)
両足縛り(緊縛)

注1:これらの名称は絶対的なものではなく、同じ緊縛法でも複数の名称を持つ場合がある。
注2:もちろんこれが全ての緊縛バリエーションではない。


M女性の大方は緊縛を好む。

私は縛る側なのでその快感について語ることはできないが、あの拘束緊縛感がいいらしい。

彼女たちの多くは、緊縛され不自由になることそれ自体が同時に解放されるということでもあり、

その結果精神的に安定し満たされるという側面も持つ。

(この「不自由」という言葉は緊縛SMにとって非常に重要なキーワードであると私は思う。

話が逸れるのでここでは書かないが、覚えておかなければならない。)

中には緊縛時に縄酔いと呼ばれる状態に陥り、

ただ緊縛しただけでエクスタシーを得る女性も少なくなく、時に彼女たちは失神する。

緊縛はただそれだけでも独立したプレイだが、

鞭打ち、蝋燭、その他様々な責めと組み合わせが可能なのは言うまでもない。


緊縛の後には女体に美しい縄目が刻まれるが、

時にそれを早く消したい場合にはマッサージや入浴で血の巡りをよくしてやるのが有効である。

麻縄の代わりにソフトロープやただのロープを使っている人をよく見かけるが、私はお薦めしない。

ただし、緊縛撮影などを主眼に置くならばカラフルなソフトロープは新鮮だ。


緊縛をマスターしたいのなら、その手の緊縛指南本を一冊買うのが手っ取り早い。

それらは少し大きめのアダルト書店で簡単に手に入れることができる。

実際に緊縛の練習台になってくれる女性が必要だが、そこは各自で何とかしよう。

どうしても相手が見つからないようなら人形を使ってもいい。

スケールこそ違うが、それなりに実際の緊縛手順を感じ取ることができるだろう。

あるいは、緊縛愛好家同士で集まってお互いに練習するのも有効だ。


緊縛は女性をエクスタシーと解放の世界へ誘うと共に、我々男性をも視覚的に充分満たしてくれる。

他との組み合わせを考えない場合、緊縛を施した後はゆっくりと眺めるに限る。

私など、時に酒を飲みながら緊縛された女体を眺めることもある。

血液の循環に支障をきたすような緊縛でなければ長時間楽しむことができる。

ただし、さるぐつわや口枷を同時に行う場合、

予めタップ(ギブアップ)のサインを決めておかなければならない。

吊しの項目でも述べるが、天井補強や滑車その他の垂直負荷設備があれば

緊縛のバリエーションが格段に増す。

これは言い換えれば、垂直負荷設備がなければ緊縛を楽しみ尽くせないということでもある。

垂直負荷設備、要するにプライベートダンジョンを手に入れることは、緊縛などこの世界に住む男性にとって一種のステイタスでもあるが、

本格的なものになると家の新改築にまで範囲が及ぶため、この点は各自で創意工夫されたい。


緊縛SMの基本中の基本である。

マニアックな責めに走る前に、緊縛はまず一度は通るべき道だと私は思う。
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